2012年8月26日日曜日

「未来の中国は不安定な超大国」

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朝鮮日報 記事入力 : 2012/08/26 09:14
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2012/08/26/2012082600144.html

「未来の中国は不安定な超大国」

【新刊】チョ・ヨンナム著『竜とダンスを』(民音社)

 中国広東省中山市では最近、数万人の農民工(農村出身の日雇い労働者)が市政府庁舎を取り囲み、差別に抗議するデモを繰り広げている。
 中国ではこうした集団事件が年に約10万件も発生している。
 中国共産党の腐敗と失政に反旗を翻す、下からの動きだ。
 こうした国内問題を抱える一方で、米ロに続き世界で3番目に有人宇宙船と宇宙ステーションのドッキングに成功したというニュースを発信するほど、中国の浮上は目覚ましい。
 中国は世界の超大国になるのか、それとも社会の不平等や腐敗、内紛により没落するのか。

 中国政治専攻のチョ・ヨンナム・ソウル大学教授は、西欧中心の「中国脅威論」や「中国崩壊論」、根拠なき「中国チャンス論」から脱却し、韓国独自の視点が必要だと説いた。
 韓国は米国や日本とは立場が異なるため、違った対応をすべきというわけだ。

中国は「不安定な」超大国

 チョ教授は
 「中国は今後10-20年の間に世界の超大国に浮上するが、米国や英国のような従来の超大国とは違う」
と見ている。
 経済力は既に世界第2位だが、
 軍事力は地域大国レベルにとどまっており、
 またソフトウエアの面では主に第三世界諸国に影響力を行使する地域大国に過ぎず、
 各分野の成長は均等ではない。
 少数民族・台湾問題、貧富の格差や地域格差の拡大など、内部にも多くの弱みを抱えている。
 このため、中国は「不安定な」超大国にならざるを得ないという主張だ。

2020年までじわじわと成長

 中国は、胡錦濤国家主席-温家宝首相が登場した2002年の第16期共産党中央委員会全体会議以来、現在に至るまで
 「全面的小康社会建設
という国家発展戦略を推し進めている。
 これは「2020プロジェクト」とも呼ばれる。
 政治分野では法治、社会分野では民生、経済分野では「転換」、外交分野では「和平崛起」(平和的な浮上)が目標だ。
 チョ教授の採点によると、
 経済と外交は大成功、
 政治は部分的成功、
 社会については部分的失敗だ。
 10年後もこうした戦略が続き、2020年の中国は現在よりさらに力強く、影響力を持つ超大国になるものと見ている。

「革命党」から「政権党」に変身

 1978年に「改革・開放」路線が始まってからの中国の高度成長は、中国共産党が率いる政治の安定のおかげで可能だった、というのが一般的な見方だ。
 中国共産党は過去約30年間、政治の民主化ではなく政治の制度化によって改革を引っ張ってきた。
 人権や国民の政治的権利の保障は不十分だが、政治システムはより合理的かつ効率的なものに改善された。
 特に、有能な統治エリートの充足、党運営の制度化、党内民主の拡大などの改革政策を通じ、「革命党」から「政権党」に変身することに成功した―というのがチョ教授の評価だ。
 中国は、少なくとも今後10-20年間は共産党一党体制を維持すると見込まれている。

 韓国は、浮上する中国との間で経済協力や社会的・人的交流を拡大するだけでなく、軍事・安全保障分野での信頼構築にも乗り出さなければならない。
 韓米同盟または韓米日の安全保障協力を通じ、中国の軍事的浮上に対する危険分散戦略を講じる必要もある。
 加えて、東アジア首脳会議(EAS)、東南アジア諸国連合(ASEAN)プラス韓中日といった東アジア多元主義政策を推進しなければならない。
 関与、危険分散、多元主義からなる「政策三重奏」を、バランス良く推し進めていかなければならない-というのが、チョ教授の結論だ。
 さらに、前提がもう一つある。
 韓国が北朝鮮問題を主導的に解決してこそ、この三つの政策が効く、というものだ。

 同書は一般向けに書かれたもので、脚注は省略し、参考図書もわずかしか挙げていない。
 しかし、どの専門書にも引けを取らず、中国の現在と未来を推し量るのに十分な参考書に値する価値がある。
416ページ、2万5000ウォン(約1700円)。





【国家の品格=ゼロ】



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