2012年10月31日水曜日

「ストレスがあれば疲れるが、ストレスがないのも恐ろしい」

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レコードチャイナ 配信日時:2012年10月31日 5時13分
http://www.recordchina.co.jp/group.php?groupid=65954&type=0

中国人のストレスは世界一、日本を抜き過労死大国へ―中国

 2012年10月29日、中国の会社員が過去1年間に受けたストレスは世界最大であることがこのほど、レンタルオフィス世界最大手、英リージャスの調査で分かった。生命時報が伝えた。

 伝統的行事「中秋節」(旧暦8月15日、今年は9月30日)と重なり8日間の大型連休となった「国慶節」(建国記念日、10月1日)休暇が年に1度の「混雑ウィーク」へと変わり果ててしまった理由が、この調査結果からうかがえる。

 調査結果によると、中国は現在、世界最大のストレス大国となっている。
 世界80カ国・地域の会社員1万6000人のうち、昨年よりストレスが増したと答えた人は、中国本土では75%、香港では55%に達し、ランキングの1位と4位となった。
 これは、平均の48%を大きく上回る。
 中国本土の中では、上海(80%)と北京(67%)が上位2都市だった。
 人口が膨らみ、社会が目まぐるしく変化し、欲望が渦巻く掛け値なしの「ストレス大国」に特効薬が求められている。

■連休の過ごし方 ショッピング、ネットゲーム、怒りでストレス発散

 13億人が同時に休みを取り、8600万人が高速道路に押し寄せる。
 国慶節連休は、外国人の目にこんな恐ろしい休暇として映っているはずだ。
 中国の関連部門の統計によると、この8日間で、飛行機を利用して旅行した人が760万人、列車を利用して旅行した人が6095万人、全国各地の観光スポットに出かけた人が4億2500万人、海外に出国した人が7700万人に上ったことが分かった。
 また、1800億元(約2兆3000億円)が国内旅行市場に費やされ、800億ドルが海外で消費された。
 一方、回答者の8割がストレス解消の方法に長距離旅行を選んだとする調査結果もある。
 旅行に出かけた中国人にとって、旅行は「逃避」だ。
 それは朝9時から夕方5時までという味気ない仕事や家庭、職場と家を往復するだけの単調な生活からの現実逃避にほかならない。

 北京の外資系企業で働く王琳(ワン・リン)さん(28歳女性)は国慶節の休暇は買い物に没頭した。
 今でも両親と一緒に暮らしている王さんは家も車もなければ、彼氏もいない。
 毎日、両親から早く結婚して子供を生むよう朝から晩まで口うるさく急かされる。
 身近な友人はすでに結婚をして、立派な家を購入し、高級車を運転している。
 そんな様子をみると心は穏やかではない。
 そんな中、連休に国外旅行に出かけることが王さんの唯一の精神的支えとなった。
 しかし休暇が終わってみると、期待していた異国での出会いは生まれず、クレジットカードの領収書だけが山積みになっていた。
 ブランド物の洋服やアクセサリーなどに3万元(約38万4000円)以上も使い、3枚のクレジットカードすべてが使用限度を超えた。
 しかし王さんは衝動買いを後悔してはいない。
 「青い空と美しい風景の下で買い物をしているときは、自分が美しく、幸せで、裕福に感じられ、ストレスをすっかり忘れられた」
と語っている。

 「おれが悪かった。
 ネットゲームにはまるんじゃなかった。
 でも正直、ネットゲームにはまったわけじゃなくて、単に生活と仕事のストレスに耐えられなかっただけなんだ」。
 これは李さんが妻の張さんにあてた手紙だ。
 李さんはこの2年間胸の中にしまっていた思いを妻に打ち明けた。
 張さんは手紙を見つめながら
 「夫はなかなか自分に合った仕事が見つからず、自暴自棄になって、家でネットゲームばかりするようになり、口も利かなくなった」
と涙を浮かべた。
 中国のインターネット利用者数は2011年12月の時点で、世界最多の5億1300万人に達し、うちモバイル端末によるネット利用者は3億5600万人に上った。
 インターネットはコミュニケーションツールだが、ストレスを発散する新しいツールでもある。
 ネットゲーム以外にも、ネット掲示板をのぞいたり、ネットショッピングをしたり、ブログやミニブログ上で感情や不満を吐き出したりなど、インターネットによって現実の不快なことを一時的に忘れることができるようだ。

 ストレスを抱えた人々はまるで弾薬のように、一度摩擦が起こると、一気に火が着き燃え上がり、過激な衝突に発展してしまう。
 実際、今月6日、四川航空の機内で、男性が荷物を取る際に、前に並んでいた乗客と口論になり、乱闘に発展した。
 翌7日、広州の地下鉄内で60代の老人が28歳の男性と席の取り合いで殴り合いとなり、現場は血痕が残る惨劇となった。
 今月8日、北京の地下鉄内で、2人の若い女性がそれぞれ一人の老人と口論し押し合いとなった。

過労死、うつ病、自殺、不安神経症、すべてストレスが原因

 1970~80年代、経済が急速に発展する日本では、多くの若者が過労死や突然死する現象が起きた。
 現在、中国はすでに日本を抜いて「過労死大国」となった。
 一年で過労死する人は60万人に達する。
 仕事上の過度なストレスが過労死を招く主要な原因だ。
 中国最大の人材開発ポータルサイト「中国人力資源開発網」によると、中国のオフィスワーカーの3割しか有給休暇を取得しておらず、日数も世界で最も少ない。
 中国紙「生命時報」のリサーチによると、ホワイトカラーのうち、12.28%の人しか自分のことを健康だと考えておらず、40%もの人が自分のことをあまり健康な状態ではないと考えている。

 また、英医学雑誌「ランセット」のリサーチによると、
 中国人は現在10人に1人が精神障害を患っており
 そのうち、心理的な要因に起因するうつ病と不安神経症の人数が急激に上昇している。
 現在、中国でうつ病を患っている人は2600万人いる。
 「ランセット」の予測では、中国のうつ病患者は6100万人に達するとみられるが、ほとんどが病院で治療を受けていない。
 うつ病の原因は複雑だが、持続的なストレスが重要な原因の1つであることは間違いない。

 中国の自殺者数は世界で最も多い。
 世界保健機関(WHO)の統計数字によると、世界で毎日3000人が自殺しており、うち職場のストレスが原因で自殺した人が近年3倍に上昇している。
 中国の自殺者は毎年11万人前後に上ると試算されており、15歳から34歳が中心、その半数近くが精神的健常者だ。

 「ストレスがあれば疲れるが、ストレスがないのも恐ろしい」
という心理状態が多くの中国人に焦りをもたらしている。
 しかしストレスが膨張を続けると、こうした焦りは、一般的な情緒から精神障害へと変化する。
 中国では、精神障害を患った自殺未遂者のうち4割がうつ病だ。
 住居、仕事、結婚が都市居住者の焦りの主な要因となっている。

 このような焦りから逃れることは明らかに不可能だ。
 西南大学の楊東(ヤン・ドン)准教授(心理学)は
 「心のよりどころを見つけることが、不満を減少させ、ストレスを解消させる方法の1つ」
だと指摘した。
 どんな信仰であろうと、そこに貫かれている人生哲学は人の心を穏やかにし、強すぎる欲望が生み出すマイナスの感情を減少させると語った。

 専門家は、物事を忘れやすい、悪夢を見る、下顎が痛む、歯の痛みや出血、重度の月経痛などの症状が出た場合は、強いストレスを感じていないか振り返ってみるよう注意を促している。
 ルールが簡単で誰でも気軽に遊べるカジュアルゲームを楽しんだり、牛乳、海草、魚などのカルシウムやビタミンB1を豊富に含んだ食物を多めに取ったりすることで、一時的にストレスから離れ、心身ともにリラックスできるという。
(提供/人民網日本語版・編集/内山)




【国家の品格=ゼロ】


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